事業場における治療と仕事の両立支援とは?

職場はこのような事態に対応できていますか?

例えば…


がんにかかったので、職場のみんなに迷惑をかけるから会社を辞めたい、と従業員が申し出てきた。


がんの手術を受け、2か月後に職場復帰したが、その後抗がん剤治療を受けるので、出張の多い営業職からしばらくはずしてほしい、といった申し出があった。


乳がんの手術をした女性従業員が、棚の上段の部品を取るのを辛そうにしている。 


がんの放射線治療で3か月間休職していた従業員から、職場復帰するに際して、体力が回復するまでの間、時差通勤及び短時間勤務できないかと相談された。


以前に胃がんで休職した部下がいたが、復職に際して、どのように対応してよいかわからなかった。

従業員ががんと宣告されたときに安易に退職を決めてしまわないように、がんに関する理解を促すとともに、誰もががんになりうるという前提で、両立支援に関する制度の導入などの職場環境を予め整備しておきましょう。

治療と仕事の両立支援のメリット

治療と仕事の両立を支援することは、従業員のみならず会社にとっても、また日本社会にとっても大きなメリットがあります。


事業者にとっては、従業員の健康状態に応じた就業上の措置を適切に行うことにより、事業者に課せられている健康配慮義務が果たせ、健康管理の充実が図れます。


従業員にとっては、疾病にかかったとしても、希望する場合は、治療に関する配慮が行われて疾病を憎悪させることなく仕事を続けることができ、定期的通院も滞りなくできて、継続治療を受けることが可能となります。


企業にとっては、貴重な人材の喪失を防ぐことが可能となり、従業員を大事にする姿勢は他の従業員のモチベーションの向上や生産性の向上につながり、さらには「健康経営」や社会的責任(CSR)、従業員のワーク・ライフ・バランスの推進といった効果が期待されます。

事業場でまずはじめる事は…

“治療と仕事の両立を実現しやすい職場風土を醸成する”こと

がんに罹患した従業員から就労継続の申し出があった時の治療への配慮等が円滑に進むよう、職場風土の醸成を図りましょう。

事業者による基本方針の表明と従業員への周知

治療と仕事の両立を支援することを表明し、具体的な対応方法等の事業場内ルールについて衛生委員会において調査審議のうえ、労働者に周知しましょう。

がんに対する普及・啓発教育

がんに対する正しい知識の普及・啓発のための教育を行い、がんの治療と仕事の両立が可能であることの理解を促しましょう。

相談窓口の明確化等

従業員が安心して相談・申出を行える相談窓口及び情報の取扱い等を明確にしましょう。

就業上の措置の徹底や柔軟な勤務を可能とする制度導入の検討

がんに罹患した従業員や治療中の従業員が就労を継続できるよう、職場の環境や作業方法を点検し、労働時間の削減や業務の転換等、適切な就業上の措置を行うことのほか、短時間の治療が定期的に繰り返される場合等に対応できる休暇・勤務制度を検討・導入しましょう。
また、時差出勤や短時間勤務等の申し出への対応等も予め検討しておきましょう。


soudan